野球バカの一言居士

阪神ファンとして生まれ、ロッテファンとして育った野球バカが千葉ロッテマリーンズ等の野球に関した幅広い題材に対して余計な意見を書いていきます

【考察】何故藤岡裕大を2番で起用しないのか

どうもこんちゃす。マリーです。お久しぶりです。

まず、気まぐれで更新するスタイルという言い訳に甘え、かれこれ1年近く記事を更新して無かったことを謝罪致します。すみませんでした。

ですがこれからも変わらず気まぐれに書いていきます。となると次の更新は2年後…ということは流石にないようにこれからもよろしくお願いいたします。

 

という冗談をおいといて、今回はタイトル通り『何故藤岡裕大を2番で起用しないのか』の考察記事となります。

現在首位を走る千葉ロッテマリーンズ。好調なチームを支えるのは昨季最大のウィークポイントであった打線がストロングポイントとなり、パ・リーグナンバーワンと言ってもいいほどの破壊力を持っています。

しかしその打線も藤原選手の離脱により最近はやや低迷状態。その中で井口監督は空いた「2番藤原」の枠を主に角中選手で埋めています。

このように最近ファンの間では、何故現在打撃好調の藤岡選手を2番に置かないのか、という議論が活発になっております。

これは井口監督が藤岡選手を信頼していないから、藤岡選手の事を嫌っているから等様々な意見が飛び交っていますが、私は藤岡選手を厚く信頼しているからこその「8番藤岡」なのだと考えております。

では何故「8番藤岡」なのか、そして何故「2番藤岡」での起用が無いのか―。この2つの疑問の考察をしていきます。

まず今季のマリーンズ打線の仕組みと狙いの考察、そこから導き出される「2番藤岡」の起用がない理由を述べていきます。少し長くなりますがよろしくお願いいたします。

(記事内の数字は9月10日までの数字になります)

 

<井口監督が求める2番打者像>

まず始めに井口監督の求める2番打者像を紐解いていきます。

近代野球で最も重要と言ってもいい2番打者。

そのチームで最も優秀な打者を置くことで得点力をアップさせるという考え方が広まり、そして今ではほぼ常識と言って差し支えないほどまでに浸透しています。

井口監督もご多分にもれず、2番打者に優秀な選手を起用しています。

しかし井口監督の場合、優秀な打者であることは1つの条件に過ぎず、これ以上に外せない条件があります。それは

  1. 左打者であること
  2. 右方向(引っ張り)の安打が多いこと

の条件です。

今季のマリーンズで2番に座った選手は

マーティン(64試合)

藤原恭大(28試合)

角中勝也(7試合)

鳥谷敬(4試合)

菅野剛士、高部瑛斗、小窪哲也(1試合)

106試合中105試合で左打者が2番に起用されていることから、ほぼ必須条件であると言っていいでしょう。

そして主に2番で起用されているマーティン選手、藤原選手、角中選手の右方向(引っ張り)の打率は

マーティン(.515)

藤原(.412)

角中(.314)

とハイアベレージを残していることから、右方向への安打が多いことも必須条件であると言えます。

藤岡選手はこれらに該当してないのかというと、実は該当しています。

藤岡選手は左打ちで、今季右方向の打率が.489と引っ張っての安打が極端に多いです。

文句なしで適性があるのに何故藤岡裕大は2番打者で起用されないのか。それはもう1つの条件、そして最も重要な条件から外れているからです。

その条件は4番の仕事が出来るか、やった事があるかです。

 

<だから藤岡裕大は2番で起用されない>

ここまでは井口監督の描く2番打者像の考察を行いましたが、ここからはマリーンズ打線の中での2番打者と、藤岡選手の立ち位置と任せれている仕事内容の考察をしていきます。

マリーンズの2番打者の求められる仕事の1つに他球団の2番打者と同様にチャンスメイクがあります。

これは何故右方向への安打が求められるかの答えにもなります。

現在千葉ロッテマリーンズの1番は荻野選手です。この荻野選手は知っての通り超攻撃型1番打者です。

これはバッターボックスの中だけの話ではなく、出塁すると果敢に一つ先の塁を狙うアグレッシブな走塁にそれを可能とする脚力を持つまさに「理想の1番打者」です。

荻野選手の特徴やイメージで1番最初に挙げられるのは恐らく盗塁と思いますが、衰えやバッテリーのマークが厳しいせいか盗塁成功率は63%と全盛期に比べるとかなり落ちており、盗塁は計算上成功率7割を超えると有効な作戦になると言われるので、荻野選手を盗塁させるのは有効な作戦とは言えません。

そのため1つでも先の塁へ進める為には盗塁よりも打つ方が有効で、そしてその打球が2塁の次の塁である3塁に遠ければ遠いほど野手の送球が遠く、送球の到達が遅れるため進塁しやすくなる。つまり右方向へのヒットを打てば荻野選手の脚力で楽々進塁という場面が起きやすく、また0アウト1.3塁という攻撃する上で最も作戦の立てやすい場面を作り上げることが出来ます。

だから2番打者は右方向へ打てる選手を、という条件が成立する訳です。

そして荻野選手と2番打者にはもう1つの仕事があります。それはポイントゲッターです。そしてこれが非常に重要な仕事になります。

優秀な打者にチャンスメイクをして貰うだけではもったいない。得点を獲ってもらう役割も与え、クリーンナップだけでは無いところも得点源とすると、理論的には打線の厚みが増す上に優れた打者だから得点期待値も高くなります。

ではその返すランナーは誰になるのか。荻野選手、2番打者の前の打者である8.9番の打者になる。

ここにいるのが藤岡選手なのです。

打線という単語は「線」という字を使っていますが、その線は最初と最後が繋がっているので実際は「円」になります。荻野選手、2番打者から見ると藤岡選手は1番打者。藤岡選手は打順では8番打者ですが仕事内容は1番打者と同じになります。

そして9番打者にいるのは捕手。今だと加藤選手になります。

加藤選手の仕事内容は言わば一昔前の二番打者。つまりバント等で自らを犠牲にしてランナーを進める事です。

2番打者の仕事ならば9番にマーティン選手を起用してもいいのではないかと考えることも出来ますが、9番打者は最も打順が回ってこないため、ここに打てる選手を起用してもプラスにはなりません。しかし前を打つ打者が実質1番打者の藤岡選手なのでバントや進塁打を打てる選手を置くことで打つことを期待されていない9番打者に仕事を与える事で打線の中に無駄が無くなり、どの選手にも果たすべき仕事がある打線になります。

直近でこの作戦が見事に成功したのが9月10日対楽天戦の2点目です。

3回裏、この回先頭の藤岡選手がレフトへのヒットを放ち出塁。まさに1番打者の仕事をします。

次の加藤選手はきっちり昔の2番打者の仕事である自らを犠牲にした進塁をさせ、1番荻野選手のタイムリーで追加点を挙げます。

まさに理想通りの得点パターンでした。

本来ならここに藤原選手がいることで荻野選手を返して中村奨選手、マーティン選手、レアード選手といった「本職」のポイントゲッターに回すことで大量得点というパターンとなります。

そして藤岡選手を1番打者と見た時、2番打者は何番目になるか。

答えは当たり前ですが4番目。つまり4番打者になり、2番打者は4番打者と同様の仕事が求められます

もう一度2番打者を打っていた上位3人を見てみると、4番打者としての出場数は一軍では

マーティン28試合

角中13試合

そして藤原選手、鳥谷選手は二軍で4番で起用された経験があります。

更に今季唯一の右打者で2番に起用された小窪選手は昇格前日の9月8日の二軍戦で4番打者に起用されて3打数2安打の活躍。次の日一軍へ昇格し即スタメン。しかも2番打者として起用されました。これは単なる偶然でしょうか?

またマーティン選手が2番から外された時に起用されたのが3番や6番ではなく4番だったことからも、2番打者と4番打者の仕事内容が一致していることを証明しています。これは二軍で4番に起用された鳥谷選手にも当てはまります。

菅野選手、高部選手が2番に起用された2試合以外は一軍二軍のどちらかで4番経験のある打者が2番で起用されているのは偶然で片付けるには難しく、明らかに意図的に起用しているとしか思えません。

藤岡選手を2番で起用するとシステムが成り立たなくなるので仕事内容は変わるのではないかという考えもありますが、ここで見るべきは人ではなくシステムそのものです。

このシステムは今のような不調時でも機能し、得点源になっています。

これ程優れたシステムを人の配置換えで変えることは考えづらく、藤岡選手と同じ仕事をして貰う選手を8番に起用すると思います。

ですので、4番打者としての経験がない全くない上に慣れない仕事を追加され、リズムが崩れるデメリット承知で2番に起用するよりも今まで通り8番で起用し、実質1番打者としての仕事を遂行する今の状態の方がメリットがあり、実際結果を出している為変えづらい、いや変えないようにしていると考えます。

つまり

  • 藤岡選手は8番打者ながら仕事内容は1番打者
  • この仕事が藤岡選手にフィットしている
  • 今のマリーンズの2番打者は4番打者と同じ仕事が求められる
  • しかし藤岡選手は今季その仕事を経験したことがない
  • した事の無い仕事を与え、好調な打撃を崩したくないから2番に起用しない

 

だから藤岡裕大は2番で起用されないのです。

 

<今後2番起用はあるのか>

今後藤岡選手が2番起用されるのかの考察ですが、結論から述べると2番藤岡はある種終わりの始まりと考えています

前述した通りこの下位打線からチャンスを作るシステムは例え打線全体が不調時でもある程度機能し点が取れる優れたシステムなので、怪我人が多発しない限り起用はされないと思っており、そもそもそのような状況になってしまうとまずまともに戦えないだろうと思いますし、わざわざ成功しているものを壊すようなことをするのはマイナスの方が大きいので変更はないと考えております。

 

<終わりに>

これはあくまで僕の一意見に過ぎません。

もちろん反論あるかと思いますし、様々な考えを持っておられるかと思います。

しかし何も考えず自分の思想、好みと違うからというだけで采配批判をしてはいけないと考えておりますし、これだけは譲れない思いです。

プロの監督が考えに考え抜かれた上で行う采配は噛んでみないと味が染み出してこない食べ物と一緒です。

意図を読み取り、自分の中で考え、その上で賞賛や批判をする。そして時には考えの違う他人と自分の考えをぶつけあい、さらに考えを深めていく。これを繰り返すことで今まで見えてなかったものが見えるようになり、これまで以上にプロ野球を楽しく見ることが出来ると思います。

一人でも多くの人が楽しくプロ野球を見れるようなそんなきっかけの記事になればこれ以上の喜びはありません。

 

長々とした駄文を最後まで読んでいただきありがとうございました。では2年後にお会いしましょう。ではでは

 

<今回使用したデータサイト、コラム様>

データで楽しむプロ野球

データで楽しむプロ野球

 

nf3〜Baseball Data House〜様

- nf3 - Baseball Data House Phase1.0 2021年度版

 

日本経済新聞2018年8月19日のコラム

勝利への必要条件 積極走塁のリスクとリターン: 日本経済新聞